アシアト。

心の赴くままに

「クラッシャー女中」

実に一年半ぶりの倫也さんの現場。

 

 

圧倒的に若い人が増えててびっくりしました。同世代なんか今まで見たことなかったぞ…😳

今回は倫也さんは言わずもがなですが、麻生久美子さんの演技も楽しみで。3年前に「同じ夢」という舞台で見たことがあったんですが、めちゃくちゃ暗いシーンばっかりだったので…この「クラッシャー女中」は明るいところも見られるかなと!時効警察大好きなので、密かにあんな感じを期待していた!!!そして今回も趣里さんが出演ということでまた違った姿が見られると✌✌

そして演出の根本宗子さん。「皆、シンデレラがやりたい」がすごく話題になってたし、いろんな方のインタビューで名前が出てたので一度作品を見てみたかった!

 

 

【あらすじ(パンフレットより)】

世界的な画家であり、大富豪の小笠原義一の息子・義則(中村倫也さん)は、大人気のデザイナーとして、成功を手にしていた。屋敷の主人・義一はすでにこの世にはなく、今ここには、彼の母親・和沙(西田尚美さん)と二人の女中(佐藤真弓さん、根本宗子さん)、また彼の幼馴染で孤児の華鹿男(田村健太郎さん)という男の子も養子として住んでいた。義則は、彼の好みの女性・静香(趣里さん)を婚約者としてこの屋敷に迎える。彼女はゆみ子(麻生久美子さん)という女中を伴っていた。この2人の女は、実はそれぞれにある企みを持ってこの屋敷に入りこんできていたのだが、彼女たちの出現によって隠された真実が次々とあらわになり、彼女たちの仕組んだ罠が、義則の底知れぬ欲望と悲しい過去が、思わぬ事態を招いてゆくーー。ある屋敷を舞台に繰り広げられる女と男の対決の物語。

 

 

【感想(あらすじ付け加え含む)】

公式サイトのあらすじ*1だと、ゆみ子が屋敷に潜入したのは「お金持ちになりたい」とあったが、実際はそうではない。むしろ、義則と同じ小学校で帰ってる姿を見ている=ゆみ子も港区(あるいは近いところ)に住んでるわけだからそこそこの金持ちじゃないとおかしい。ちなみに幼馴染の華鹿男の1番のおしゃれ着がしまむらのポロシャツであることも疑問。*2まあそこは今回あまり関係ないので胸の中にしまっておきます。

実際どうしてゆみ子が潜入することになったかと言うと、端的に言えば「愛情の歪み」から。ゆみ子は小学生の時に色々あって、好きだった義則の記憶から自分の存在が消されてしまう。そこで大人になってから義則の周りを密かに壊していき、義則に心の支えが必要になったところで自分が手を差し伸べるという欲望を果たすために潜入したのだった。

一方の静香。こちらも「金持ちになるため」ではなく、「両親を殺し、自分も死んだものとみなした挙句、兄の華鹿男を養子として都合よく奪った小笠原一家への復讐」のためだった。

両親が殺されたおおもとの原因は義一の才能を義則が受け継がなかったことだ。義則の母・和沙は、義則に才能がないことを悔やみ、夫の義一に「あいつ(義則)は一人っ子で刺激がないからダメなんだ」「子供産めないなら絵のコンクールで入賞した幼馴染の華鹿男を養子にするしかない」「家に火つけて家族みんな焼き払って、親友の家が放火にあって親友が孤児になったっていうものすごい衝撃をこいつに与えるんだよ」と言われ、精神的に追い込まれた結果、放火して静香の一家を焼き殺してしまったのだった。

小笠原一家に潜入したいという共通の目的を持ったゆみ子と静香は意気投合する。静香を義則の好みの女性(色が白くて、背が小さくて、目が離れてる女の子←ゆみ子は背が大きいのでこの条件は満たせない=一生好きになってもらえない)に近づけることで潜入しようとしたのだった。

すぐに義則に気に入られた静香は早速復讐を始めようとするが、屋敷にいたのは精神的に不安定になった和沙の姿。復讐心を燃やし続けた妹の静香(実の名前は乃絵瑠)に困惑し、和沙の元へ行ってしまう華鹿男の姿だった。実は和沙をこの状態にさせたのは、ゆみ子だった。

ゆみ子の計画通り、義則のデザインはすべて自分がやったと暴露する女中(実は彼女のデザインも最近はゆみ子が行っていた)。暴露される義則。華鹿男の態度に呆れ、復讐が失敗に終わり絶望する静香。「義則が好き」という愛情の歪みが人間関係を壊していったーー。

 

 

公式で発表されてた前情報と、あらすじ・キャラ設定が微妙に変わってることなんてまあよくある話なわけですが、「静香がお嬢様に、ゆみこが女中になりすましてお屋敷に潜入し人間関係クラッシュ」ってとこしか同じじゃないじゃん(笑)ってなりました。あんまり読み込むのもダメですね…

物語の始まり方が趣里さん、田村さん、根本さんの3人がだべってる所から始まるのがかなり斬新!…だけどちょっと長すぎる気もした。節々に「登場人物の顔が変わらないのは演劇の嘘です!」とか「役者は若い頃を演じる時になぜか声を高くします」などなど演劇ネタが盛り込まれてたり、物語中盤に通路でお芝居しはじめたり(佐藤真弓さんの演技は圧巻でした)があったのはすごく面白かったです。あと最後、人間関係をクラッシュさせたゆみ子に対してキャスト達がひたすら物音(=クラッシュ音)を立てるのが印象的だったんですが、まあセリフが聞き取りづらかったのが残念でした。せっかく麻生久美子中村倫也の二人のお芝居なのに勿体ない感じが否めなかった…(東京中日はかなり騒がしかったですが、東京千秋楽ではちょっと落ち着いていたので地方公演がどうだったかは分からないですが😥)

1回目見た時お話が合わなかったのですが、2回目見た時に数々のセリフの本当の意味、役者さんの動きの意味がようやく分かってスッキリしました。私の理解力の問題…(笑)

倫也さんについて言うと、歌もあるし、小学生時代のかわいい面もあるし、暴力的な一面もあるし、エリートのかっこいい面もあるしで一石二鳥どころか三鳥、四鳥ぐらいありました!麻生さんはドラマ「時効警察」の三日月さんがエスカレートしすぎた感じが多少の気持ち悪さもあってよかったです(いい意味で)。

チケット激戦の演目でしたが見られて良かったです!

*1:幼少期、驚くほど貧乏だったゆみこ(麻生久美子さん)。彼女は母の再婚相手の子供、静香(趣里さん)と「貧乏なんてこりごり、絶対金持ちになってやる。」という誓いを立てる。

長じて、二人はとある屋敷に居た。静香はこの屋敷の息子・義則(中村倫也さん)の婚約者として。ゆみこはこの屋敷の女中として。

屋敷の主は義則の母・和紗(西田尚美さん)。和紗は息子を溺愛し、自分の理想の男性として育て上げた。義則は和紗の期待通りの完璧な男性を演じているが、そのストレスを使用人たちにぶつけて疎ましがられている。

「金持ちになる」という夢のために静香を「お嬢さん」に仕立てて、まんまと屋敷に潜り込んだゆみこ。しかし、「育ちのいいお坊ちゃん」という仮面の下に、底知れぬ本性を隠し持っていた義則によって、二人の計画はねじれ、思わぬ方向へ暴走し始める。しかしそれはすべて完全に何かがぶっ壊れていたゆみこの欲望が原因だった。

やがて屋敷の人々の欲望があらわになったとき、ゆみこと義則を中心にして、人間関係のクラッシュが始まる――。勝つのは女の欲望か、男の欲望か。

*2:幼馴染ってことは近くに住んでるよね??そうだったらそこそこどころかかなりの金持ちじゃないと港区住めないよね?いくら家がチョコレート屋さんだとはいえ、ちょっと設定に無理ある気がするのは私だけ…?